みなさんはWordPressサイトのバックアップをとっていますでしょうか。
バックアップをとっておくことで、想定外の不具合やハッキング等にも素早く対応できるようになります。
本記事ではWordPressのバックアップにおすすめのプラグイン2つを使用方法とあわせて紹介します。
また、手動でバックアップをとる方法も解説しますので、バックアップに関する理解が深まるかと思います。
レンタルサーバーにもバックアップ機能はある
サイトを運営する上で必ずとっておきたいバックアップですが、実はレンタルサーバーには自動バックアップ機能というものがあります。
以下に代表的なレンタルサーバーとそのバックアップ内容をまとめます。
1日1回、過去14日分のバックアップをとってくれているレンタルサーバーが多いようです。
レンタルサーバー | バックアップ内容 |
---|---|
Xserver | サーバー領域のWeb・メールデータ、MySQLデータベースのデータ過去14日分を保持 |
ConoHa WING | Webサイト、メール、データベースのデータを1日1回バックアップし、過去14日分を復旧用データとして利用可能。 |
お名前.COM | サーバー内の「WEBデータ」「メールの受信データ」「データベース」を、それぞれ14日間、無料で自動保存。 |
※ レンタルサーバーによっては自動バックアップがついていないものや有料オプションのものもあります。
自分自身でバックアップをとるメリット
「レンタルサーバーに自動バックアップ機能を搭載されているのなら、自分でバックアップをとらなくてもいいのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、以下の理由から自分の手でもバックアップをとっておくべきです。
保存箇所を分けてリスク軽減
万が一レンタルサーバーへアクセスできない状態になると、せっかく取っているバックアップも使用することができなくなります。
そういったリスクに備えて、自身のパソコンや外部サービスなどレンタルサーバー外にバックアップを取っておくと安心です。
バックアップのタイミングを自分で決められる
レンタルサーバーのバックアップは決められた数日分までしか保存されません。
「過去30日分のバックアップが欲しい」や「1ヶ月ごとのバックアップが欲しい」のように、好きなタイミングでバックアップを取りたい場合は自身でバックアップをする必要があります。
バックアップのタイミング
バックアップは万が一のトラブルに備えて取るものです。
以下のタイミングでバックアップを取っておくことをおすすめします。
各種バージョンアップデート前
WordPressサイトは「WordPress本体」「テーマ」「プラグイン」が独立したタイミングで更新を要求します。
セキュリティ上必要な操作ではありますが、更新のかみ合いが合わずエラーや表示崩れが起きることもあります。
それぞれの更新前、特にWordPress本体のバージョンアップデート前はバックアップをとるようにしましょう。
サイトのカスタマイズ前
自身でWordPressサイトのコードを編集しカスタマイズする際も、予想外のエラーや表示崩れが起きることもあります。
編集前にバックアップをとっておき、万が一の場合もすぐに復元できるようにしておきましょう。
定期的に行う
WEBサイトのトラブルはいつ起きるかわかりません。
予想外のタイミングで起きることに備えて、定期的なバックアップをとっておくとよいです。
おすすめのバックアッププラグイン2選
バックアップにおすすめのプラグインとその使用方法について解説します。
紹介するプラグインの特徴は以下です。
All-In-One WP Migration | BackWPup | |
---|---|---|
メリット | ・バックアップ、復元が簡単にできる ・すべてのデータがバックアップ対象で、サイト引越しにも使用可能 | ・定期的な自動バックアップが可能 ・無料版でもDropboxにバックアップを保存できる |
デメリット | ・無料版では復元できるデータ容量に制限がある | ・復元を手動で行う必要がある |
All-In-One WP Migration
バックアップをとる場合は自身で操作する必要がありますが、非常に簡単にバックアップ・復元ができるプラグインです。
復元が簡単にできるため、サイトのアップデートやカスタマイズ前にバックアップをとっておきたいという方におすすめです。
以下、All-In-One WP Migrationの使用方法になります。
All-In-One WP Migrationをインストールし、有効化します。
管理画面の「All-In-One WP Migration」から「エクスポート」をクリックします。
管理画面の「All-In-One WP Migration」から「バックアップ」を選んでもバックアップデータを作成できますが、こちらは有料版でのみ復元が可能ですので今回は割愛します。
以下の画面が表示されますので、「エクスポート先」から「ファイル」をクリックします。
DROPBOXやGOOGLE DRIVEなどもエクスポート先に表示されていますが、こちらは有料オプションになりますので今回は「ファイル」を選んでおきます。
エクスポート先をクリックすると、バックアップの作成が開始されます。
バックアップの作成が完了すると以下の画面が表示されますので「〜(サイトドメイン)をダウンロード」をクリックします。
以上でバックアップの作成は完了です。
バックアップはwpress形式で保存されています。後から使うことを考えてわかりやすいファイル名に変更しておくとよいでしょう。
補足:エクスポート内容の編集
エクスポート画面から「高度なオプション」をクリックすると、エクスポートしない内容を設定することができます。
基本的にチェックは必要ありませんが、不要な内容にチェックを入れることでバックアップデータの容量を小さくすることができます。
管理画面の「All-In-One WP Migration」から「インポート」をクリックします。
以下の画面が表示されますので「インポート先」から「ファイル」をクリックし、復元したいバックアップファイルを選びます。
ファイルを選ぶとインポートが開始されます。
インポートが100%になると以下の画面が表示されますので「開始」をクリックします。
最後に以下の画面が表示されますので「完了」をクリックします。
以上でバックアップの復元は完了です。
無料版のAll-In-One WP Migrationでは、インポートできるファイルのサイズに制限があります。
インポートするファイルのサイズが大きい場合は、「エクスポート内容の編集」「 .htaccessまたはwp-config.phpに記述」「有料オプションの購入」といった対策が必要になります。
BackWPup
バックアップの設定したスケジュールで自動的にバックアップをとってくれるプラグインです。
定期的なバックアップが必要な方におすすめです。
また、無料版でも保存先にDropboxを指定できるといった点も、セキュリティの観点から評価できます。
以下、BackWPupの使用方法になります。
(今回はDropboxへバックアップを保存する方法を解説します)
BackWPupをインストールし、有効化します。
BackWPupでは、バックアップの実行内容をジョブといいます。
まず管理画面の「BackWPup」から「新規ジョブを追加」をクリックします。
以降で追加ジョブの設定していきます。
「新規ジョブを追加」をクリックすると以下の画面が表示されます。
「一般」のタブが選択されていることを確認してください。
「ジョブ名」に指定はありません。複数のジョブを設定する場合は判別しやすい名前をつけましょう。
「ジョブタスク」ではバックアップをとる内容を設定します。基本的に変更なしでOKです。
「アーカイブ名」は保存されるバックアップファイル名です。先頭にサイト名やサイトドメインにつけておくと後から探すとくに便利です。
「アーカイブ形式」でバックアップファイルの形式を指定することができます。
「ジョブの宛先」ではバックアップファイルの保存先を指定します。
今回はDropboxとの連携のため「Dropboxにバックアップ」にチェックを入れます。
「ログファイル」ではジョブに関するログをどこへ送信するか設定できます。
基本的に変更なしで大丈夫です。
以上で「一般」の設定は完了です。
「変更を保存」を忘れずにクリックしておきましょう。
バックアップの頻度や実行時間を設定します。
「スケジュール」タブをクリックしてください。
「ジョブの開始方法」で「WordPress の cron」を選択することで、以降で設定するスケジュールに合わせて自動的にバックアップをとってくれるようになります。
スケジュールは時間ごと〜月ごとまで設定できます。
設定が終わったら「変更を保存」をクリックします。
「DBバックアップ」タブをクリックします。
データベースのバックアップに関する設定です。
「バックアップするテーブル」と「バックアップファイル名」は変更なし、「バックアップファイルの圧縮」は容量節約のため「GZip」にチェックを入れましょう。
設定が終わったら「変更を保存」をクリックします。
「ファイル」タブでは、バックアップから除外したいテーマやプラグインなどを設定できます。
基本的に変更なしでOKです。
「プラグイン」タブでは、プラグイン一覧のファイルについて設定できます。
こちらも変更なしでOKです。
Dropboxにログインしておく必要があります
BackWPupとDropboxの連携を行います。
「宛先:Dropbox」タブを選び、「Dropbox のアプリ認証コードを取得」をクリックしてください。
(別タブで開くと次の作業がスムーズです)
以下の画面が表示されますので「許可」をクリックします。
BackWPupとDropboxを連携させるためのコードが表示されますので、これをコピーしてBackWPupの「Dropboxのアプリへのアクセス」へ貼り付けます。
続いてバックアップの設定を行います。
「保存先フォルダー」はDropbox内のバックアップを保存するフォルダ名です。サイト名にしておくとわかりやすいです。
「ファイルを削除」はバックアップの保存数です。設定したファイル数を超えると一番古いファイルが削除されます。
「変更を保存」をクリックし、「認証済み!」と表示されていればDropboxとの連携は成功です。
以上でジョブの作成は完了です。
最後に作成したジョブが正しく実行されるか確認しておきます。
管理画面の「BackWPup」から「ジョブ」をクリックしてください。
以下の画面が表示されますので、作成したジョブの「今すぐ実行」をクリックします。
バックアップ作成が完了すると以下の画面が表示されます。
Dropboxを確認すると「アプリ/InpsydeBackWPup/サンプルサイト(設定したフォルダ名)」の中にバックアップファイルが保存されています。
以上でBackWPupを使ったバックアップの作成は完了です。
バックアップの復元方法については後述します。
手動でバックアップをとる方法
ここではプラグインを使わずバックアップをとる方法を解説します。
今回はXserverの画面を使って解説します
バックアップには2種類のデータが必要になります。
各データの内容とバックアップ方法は以下です。
ファイルデータ
ファイルデータとは、アップロードされた画像・WordPressテーマ・プラグインなどを指します。
サーバー上にアップロードされているため、FTPソフトを使ってダウンロードすることができます。
ファイルデータのバックアップにはFTPソフトが必要です
バックアップの対象はルートディレクトリ内のファイルすべてです。
Xserverの場合は「ドメイン名/public_html」となっているフォルダに入っているものになります。
ルートディレクトリとは、サイトにアクセスした際に表示されるファイルをアップロードするフォルダのことです。WordPressサイトのルートディレクトリには「wp-admin」「wp-content」といったフォルダがアップロードされています。
レンタルサーバーによっては「public_html」のほかに「www」「html」「httpdocs」といったフォルダ名になってていることがあります。
FTPソフトを使って対象ドメインのpublic_htmlにアクセス後、すべてのファイルを選択してダウンロードします。
以上でファイルデータのバックアップは完了です。
データベースのデータ
WordPressサイトの中身の部分です。
管理画面から作成した投稿記事や固定ページ・WordPressの設定などのデータを指します。
以降ではレンタルサーバーからデータベースのデータをバックアップする方法を解説します。
① レンタルサーバーにログインし、サーバーパネルのページを開きます。
② バックアップするデータベース名を調べます。
サーバーパネルから「WordPress簡単インストール」を開き、「対象ドメイン」をバックアップを取るサイトのものに合わせてから「MySQLデータベース名」を確認します。
MySQLとは、データベースを管理するためのシステムのことです。
WordPressでは、投稿記事や固定ページ・WordPressの設定などを保存するために使用しています。
③ データベースのバックアップをとります。
サーバーパネルから「MySQLバックアップ」を開き、「現在のMySQLをダウンロード」タブから②で確認したデータベースをダウンロードします。
以上でデータベースの手動バックアップは完了です。
バックアップの復元方法
All-In-One WP Migrationでとったバックアップの復元方法は先述したので割愛します。
ここでは手動でバックアップしたデータを復元する方法を解説します。
バックアップと同様、データファイルとデータベースに分けて操作を行います。
また、BackWPupのバックアップもほぼ同様の手順で復元できますのであわせて解説します。
データファイルの復元
データファイルの復元はバックアップ時と逆の操作を行います。
FTPソフトを使って「public_html」にアクセスし、バックアップしたデータファイルをアップロードして完了です。
データベースの復元
Xserverの画面を使って解説します。
① サーバーパネルから「phpmyadmin」を開きます。
MySQLをブラウザで管理するためのツールです。
これによりプログラミング言語で記述することなく、データベースの操作を行うことができます。
② ログインが求められます。必要なユーザー名とパスワードは「WordPress簡単インストール」の画面から確認できます。
③ メニューからデータベース選びます。
④ 「インポート」タブをクリックし、アップロードするsqlファイルを選択して実行します。
以上でデータベースの復元は完了です。
BackWPupの復元
BackWPupのバックアップの復元方法は上述した方法とほぼ同じため、ポイントとなる箇所のみを解説します。
① バックアップを解凍します。
本記事の方法でバックアップをとっている場合は、Dropbox内にバックアップが保存されていますのでダウンロードしておきましょう。
② データファイルを復元します。
解凍したファイルのうち、sqlファイル以外をFTPソフトを使ってアップロードします。
sqlファイルをアップロードしてもサイトの表示に問題はありませんが、セキュリティ上アップロードしない方がよいです。
③ データベースを復元します。
解凍したファイルの中にあるsqlファイル(先ほどアップロードしなかったものです)をphpmyadminを使ってインポートします。
以上でBackWPupのバックアップファイルの復元は完了です。
まとめ
本記事ではWordPressサイトのバックアップにおすすめのプラグインについて紹介しました。
バックアップの作成・復元は手動で行うとやや手間のかかる作業ですが、プラグインを使うことで簡略化することができます。
サイト編集前にバックアップをとっておきたい場合は「All-In-One WP Migration」、定期的な自動バックアップが欲しい場合は「BackWPup」を使用してみてください。