長く WordPressサイトを運用していると、サーバーの性能アップやドメイン変更などを理由にサイトの引越しを検討する方も少なくないのではないでしょうか。
今回は WordPressサイトの引越し方法について解説します。
プラグインを使った引越し方法に加え、Xserverを使った簡単な引越し方法も紹介します。
WordPressサイトを引越しする3つの方法
WordPressサイトの引越し方法は3つです。
それぞれの特徴を紹介します。
WordPress移行代行サービスを利用する
レンタルサーバー会社やWEB制作会社の中にはWordPressの引っ越し代行のサービスを提供しているところもあります。
料金はかかりますが(相場は3万円ほど)、引っ越し作業を専門家に任せることができるため、時間の短縮や確実な引越しができるといったメリットがあります。
自力で作業する
プラグインを使わず自力でデータ移行を行う方法です。
データベースへの接続やFTPソフトを使ったサーバー上のファイルとのやりとりを行う必要があります。
自身のパソコンにバックアップデータを残せるといったメリットはありますが、WordPress外での操作が増えるためやや難易度が高いです。
プラグインを使用する
データ移行の作業をプラグインを使って行う方法です。
先述した自力での作業に比べて、難易度が下がり引越しにかかる時間も短縮できます。
料金・難易度の面から考えて、本サイトではプラグインを使った引越し方法をおすすめします。
WordPressサイトの引越しには2種類ある
実際の引越しを行う前に、WordPressサイトの引越しには「サーバー乗り換え」と「ドメイン変更」の2種類があることを解説します。
サーバー乗り換え
サーバーとはWEBサイトのhtmlファイルや画像などのデータを保管しておく場所です。
ドメインにアクセスがあると、そのドメインに関連づけられているサーバーから必要な情報を呼び出してユーザーに表示します。
ドメインとは「インターネット上の住所」とされており、Webサイトがどこにあるかを表します。
より正確には、IPアドレス(サーバーの住所を表す番号)をわかりやすい文字列で変換したものです。
当サイトの場合、URLの「wordpress-homepage.net」の部分がドメインになります。
サーバー乗り換えは、ドメインはそのままで、ドメインの参照するサーバーを変更する引越しになります。
サーバー乗り換えの主な目的は以下です。
- サーバーの性能を上げる(保管しておけるデータ量の増加・サイト表示速度のアップなど)
- 月々のサーバー利用料金を抑えるため
ドメイン変更
サーバーだけでなくドメインも変更する方法です。
サイトの引っ越しでドメインを変更する必要は基本的にありませんが、以下の場合はドメイン変更が必要になってきます。
- 無料ドメインから独自ドメインに変更したい
- ドメインの契約更新を忘れ、誰かにドメインを取られた
- ドメインにペナルティがついた
サーバー乗り換えの方法
Xserver(乗り換え先)の画面を例にサーバーの乗り換え方法を解説します。
STEP1. 新サーバーを契約する
WordPressサイトの移行先となるサーバーを契約します。
性能や料金などをみて、目的にあったサーバーと契約しましょう。
また、契約するレンタルサーバー会社によっては後述する「WordPress簡単移行」のサービスを使うことができます。
STEP2. 新サーバーでドメイン設定をする
サーバーを契約しただけでは引越し対象ドメインに対応するデータの保管場所がありません。
そのため新しいサーバーに引越し対象のドメインを設定する必要があります。
Xserverではサーバーパネルからドメイン設定が可能です。
以上で引越し先のサーバーにもデータの保管場所ができましたので、そこにデータを移行する作業に入ります。
STEP3. データを移行する
データ移行にはプラグイン「All-in-One WP Migration」を使用します。
引越し系のプラグインの中でも操作がシンプルなため初心者におすすめです。
引越し元のWordPressサイトにログインし、管理画面から「All-in-One WP Migration」をインストールして有効化します。
管理画面の「All-in-One WP Migration」から「エクスポート」をクリックし、エクスポート先に「ファイル」を選んでファイルをエクスポートします。
続いて引越し先サーバーでの作業に移ります。
乗り換え先のサーバーにWordPressをインストールします。
多くのレンタルサーバーにはWordPressのインストール機能が搭載されており、Xserverではサーバーパネルの「WordPress簡単インストール」からインストールすることができます。
ここまでに乗り換え先のサーバーでドメイン設定・WordPressインストール行いましたが、引越し対象のドメインにアクセスしても特に変化はありません。
これは現在のドメインが元のサーバーにあるデータを参照しているため、乗り換え先のサーバーを参照できるようhostsファイルを編集する必要があります。
hostsファイルとはPCのシステムファイルで、IPアドレスとそれに対応するホスト名(ドメイン名)が記載されています。
hostsファイルは、Windows 10 / 8 / 7 で「C:\WINDOWS\system32\drivers\etc\hosts」、Mac OS Xで「/etc/hosts/」にあります。
hostsファイル編集による乗り換え先サーバーへのアクセス方法は以下です。
- hostsファイルを開く
- 最下部に「サーバーIPアドレス + (半角スペース) + ドメイン」を追加して、上書き保存
以上でhostsファイルを編集したPCからのみ、対象ドメインから乗り換え先サーバーのデータ参照するようになります。
サーバーIPアドレスは新しく契約したレンタルサーバーのものを入力します。
Xserverの場合、サーバーパネルの「サーバー情報」に記載があります。
先ほどのhostsファイルの設定により、引越し先のWordPressサイトにアクセスできるようになりました。
何のデータもない空のサイトですので、引越し元のデータを移行する作業を行います。
引越し先のWordPressサイト管理画面にログインし、All-in-One WP Migrationをインストールして有効化します。
管理画面の「All-in-One WP Migration」から「インポート」をクリックし、引越し元からエクスポートしたファイルをインポートします。
All-in-One WP Migrationの無料版はインポートできるファイルサイズに上限があります。
容量が足りない場合は以下のいずれかの方法でデータ移行してください。
・All-in-One WP Migrationの有料版を使用する
・手動でデータ移行を行う
データのインポートが終わったら、STEP4でhostsファイルに追加した記述を削除します。
以上でデータの移行は完了です。
STEP3. ネームサーバーを変更する
先ほどはhostsファイルを使って参照するサーバーを変更しました。
しかしこの方法では自分のパソコンからしかサーバー乗り換え後のサイトにアクセスすることができません。
誰がアクセスしても乗り換え後のサーバーを参照するようにするには「ネームサーバー」を変更する必要があります。
ネームサーバーとは、IPアドレス(サーバーの住所)とドメインを結びつけるサーバーのことです。
ネームサーバーは以下の手順で変更します。
ドメインを取得したサイトの管理画面にアクセスします。
※ 新しく契約したサーバーの管理画面とは異なります
先ほどアクセスした管理画面からネームサーバーの設定画面を開き、ネームサーバーを新しく契約したサーバーのものに変更します。
※ 設定するネームサーバーは契約したサーバーによって異なります。
各サーバーのヘルプページ等をご参照ください。
ネームサーバー変更直後は、旧サーバーと新サーバー両方を参照している状態になっています。
どちらが参照されてもいいように旧サーバーを解約するのは完全にサーバー乗り換えが完了するまで待ちましょう。
引越しが完了し、サーバーの移行が終わるまで1〜3日ほどかかると言われていますが、余裕をもって1週間ほど待ってから旧サーバーを解約するようにしましょう。
自動SSL化したWordPressサイトのサーバーを乗り換える際の注意点
SSL化されたサイト(URLが「https」から始まるサイト)のサーバー乗り換えをした場合、以下の画面が表示されることがあります。
SSLとはインターネット上の通信を暗号化する技術のことで、SSL化されたサイトは「https」から始まるURLでアクセスすることができます。
サイトのSSL化には、サーバーが発行するSSL証明書というものが必要になります。
これはSSL化されているはずのページでSSL化が確認されない場合に表示されるページです。
事前に乗り換え先のサーバーからSSL設定ができないため、このページを表示させないためには乗り換え前のサイトでSSL化を解除してからデータ移行を行う必要があります。
ドメイン変更の方法
ドメイン変更はネームサーバーの変更が不要であるため、サーバー乗り換えに比べて簡単です。
STEP1. 新しいドメインを取得する
まず新しいドメインを取得します。
ドメインの取得は新しいサーバー会社と契約しても問題ありません。
STEP2. 新しいドメインにWordPressをインストールする
新しいドメインにWordPressをインストールします。
レンタルサーバーにWordPressのインストール機能があればそれを使いましょう。
Xserverではサーバーパネルの「WordPress簡単インストール」からインストールすることができます。
STEP3. データを移行する
新しいドメインにアクセスすると、現状何のデータもないWordPressサイトとなっていますので、ここに引越し元のサイトのデータを移行します。
データの移行にはプラグイン「All-in-One WP Migration」を使って以下の手順で行います。
引越し先のWordPressサイト管理画面にログインし、All in one migrationをインストールして有効化します。
管理画面の「All-in-One WP Migration」から「エクスポート」をクリックし、エクスポート先に「ファイル」を選んでファイルをエクスポートします。
続いて引越し先のサイト(新ドメイン)での操作になります。
管理画面からAll-in-One WP Migrationをインストールして有効化します。
管理画面の「All-in-One WP Migration」から「インポート」をクリックし、引越し元からエクスポートしたファイルをインポートします。
以上でデータの移行は完了です。
All-in-One WP Migrationの無料版はインポートできるファイルサイズに上限があります。
容量が足りない場合は以下のいずれかの方法でデータ移行してください。
・All-in-One WP Migrationの有料版を使用する
・手動でデータ移行を行う
本来、ドメインを変更する場合は、サイト内やデータベースのドメインをすべて書き換える必要があります。
しかし、All-in-One WP Migrationでデータのインポートを行うと自動で移行先のドメインに置換をしてくれます。
ドメイン変更に伴うリダイレクト設定について
ドメイン変更した場合、サイト外部にある古いリンクから元のページにアクセスすることができなくなります。
古いリンクにから引越し後のサイトにアクセスできるよう、リダイレクト設定を行う必要があります。
リダイレクトとは、あるURLにアクセスしたユーザーを別のURLに転送する仕組みのことです。
リダイレクト設定を行うことで、古いURLからでもドメイン変更後のサイトにアクセスできるようになります。
リダイレクト設定にはプラグイン「リダイレクション」(https://ja.wordpress.org/plugins/redirect-redirection/)がおすすめです。
Xserver限定!超簡単なサーバー引っ越し方法
データ移行作業の際には、プラグインを使っても引越し元・引越し先の2サイトで作業を行うため手間がかかります。
このデータ移行作業を大きく短縮してくれるのがXserver限定の機能「WordPress簡単移行」です。
手順を以下に解説しますが、本当に簡単に終わるのでXserverを契約されていない方も一度目を通してみてください。
Xserverのサーバーパネルから「WordPress簡単移行」をクリックします。
移行先のドメインを選択し、以下の情報(WordPressのログイン情報のみ)を入力して確認画面に進み、移行を開始します。
- 移行元URL
- 移行元WordPressのユーザー名
- 移行元WordPressのパスワード
以上でデータ移行は完了です。
セキュリティ系のプラグイン等でログイン時に画像認証が必要な場合は簡単移行がうまくできません。
事前にこれらの設定を無効化しておきましょう。
まとめ
本記事では WordPressサイトの引越し方法について解説しました。
慣れていないと複雑な手順になりますが、Xserverであれば「WordPress簡単移行」というサービスが使えるのでおすすめです。